UK Baroque 18th 〜Vocalo-Classica Omnibus〜
プロローグ

UK Rock 80's 《ユーケイ・ロック・エイティーズ》…?
NO!
"UK Baroque 18th" 《ユーケイ・バロック・エイティーンス》!

英国MusicといえばRock…だけじゃなく、So! 古楽"Early Music"の本場
とはいえ、18C英国のMaestroなんて例のドイツ人くらいしかいないじゃまいか
何てニッチなアルバムなんだ! って?
No No!!
中世聖楽からトラッドフォークまで、アングロサクソンからケルトまで
旧"the United Kingdom"で"R18"(18世紀以前w)にルーツのある曲を幅広く!

壮麗かつプログレッシヴな"歪んだ真珠"〜広い意味での"Baroque"なSpiritを持つ
様々な魅力ある曲を凝縮した、コアでエキサイティングなコンピレーション♪

ニコニコ動画の"ボカロクラシカ"(ボーカロイド・クラシック)や"民族調曲"の分野で
活躍する豪華ボカロP陣が、個性溢れるとっておきのお家芸を披露!

黄金の18世紀ジョージア朝のChurch《聖堂》,Theatre《劇場》 & Pub《酒場》に…Let's Trip☆

*Tour Guide*

中世期、大陸に先駆けて三和音の柔らかいハーモニーを培ったイングランド音楽は、当時欧州最先端。
百年戦争のみぎりに"ジョン・ダンスタブル"がドーヴァー海峡を越えた時から、ルネサンス音楽は始まった。

シェイクスピアの活躍した16世紀エリザベス朝は、イングランド・ルネサンス音楽も黄金世紀。
"トマス・タリス"と、「ブリタニア音楽の父」と称えられる"ウィリアム・バード"の師弟が教会音楽を育て、
世俗音楽…つまり当時の流行曲の分野では、リュート歌曲の名手"ジョン・ダウランド"も活躍した。

イタリア発の斬新華麗な音楽スタイルがヨーロッパを風靡した17-18世紀バロック時代。
流行スタイルを独自に消化して英国らしい音楽を作った"ヘンリー・パーセル"は、UK Baroqueの真の代表格。
そしてUK Baroque 18thといえばまさにこの人…
バッハとタメのドイツ人、なのに数奇な縁で英国のトップスターになっちゃった
バロック音楽最後の華を飾る「音楽の母(♂)」"ゲオルク・フリードリヒ・ヘンデル"。

彼ら豊かな古典音楽を育んだ背景には、民間に伝承された民族音楽の存在がある。
グレートブリテン島の対岸の島国アイルランドは、中世には「詩人の国」と称えられ、
独特のソウルフルな民族音楽〜昨今人気急上昇の「ケルト音楽」の本場。
アイルランドの"最後のBard 《吟遊詩人》"と云われ、国民的音楽家として広く愛される
盲目のハープ弾き"ターロック・オ・キャロラン"が生きたのは、時あたかもバロック期。
ポップカヴァーで有名な「グリーンスリーブス」や「スカボロー・フェア」も
ルネサンス期頃まで遡る歴史を持つイングランド民謡。

18世紀後半以降、バロック以前の音楽が古くさいものとして急速に忘却されてゆく中、
英国の国民的マエストロとして愛され続けたヘンデルは極めて稀な例。
早くも18世紀ロンドンで、古い時代の音楽を専門的に演奏する古楽協会ができたこともその一助。
20世紀に入り、英国の古楽器研究家ドルメッチによるリコーダー、チェンバロ復活を先駆けに
一度廃れてしまった古い楽器と作曲当時の音色を現代に蘇らせる「古楽復興運動」が盛んになった。
マンロウ、ホグウッド、ガーディナーら、英国は多数の古楽アーティストを輩出し、そのイニシアチブを担った。
英国は昔も今も古楽の本場―そして「古楽」は決して「古い音楽」ではなく、新鮮な魅力溢れる現代音楽なのだ!
 
〜2009年 パーセル生誕350年/ヘンデル没後250年〜
昨年記念年を迎えた英国バロックの二大巨匠を讃えて、このアルバムを捧げます。

2010年8月 Kapelle Triona指揮 Triona Klee (trionaP)

 

*ボーカロイドでクラシック曲を手がける「ボカロクラシカ」という世界、これまでコミュニティの外部へ出て活動する事例が少なく、ボカロ界でもまだまだ認知が低い分野です。もといボーカロイドという世界も、世間の知名度こそ上がりつつあるものの、キャラクターというサブカルチャー的側面ばかり注目されがちで、世界最先端の電子音楽技術・純粋な音楽表現手段としての正しい認識は十分とは言い難いでしょう。そして「古楽」とは、近代化の過程で忘れ去られてしまった古い欧州の曲や楽器、奏法等を復興する運動で、近年急発展しつつある新分野ですが、いわゆるクラシックという括りとはやや一線を画したマイノリティです。
そんな中、『ボーカロイドでガチ古楽』、しかも英国縛りという…実際この上なくニッチなアルバムですね><;
でもでも…古楽は決して気難しい音楽ではありません。教会の聖歌から酒場の民謡まで、いわば当時の人々が肌で親しんだ「日常の音色」なのですから。今回いわゆる古典的な「古楽」に加えて「トラッド」(民謡)を《乗合馬車》の両輪に据えたのは、時代の空気をより活々と表現すべく、また両方面の融和が深まればという願いもあります。数百年と1万qの時間と空間の隔たりも、演奏手段をも超えた魂の調べが、ボーカロイド達の歌声によって鮮やかに蘇る音色…何も身構えずとも、きっと心に響くことと思います。ボカロ?古楽?という方には新たな魅力を、ボカロ民・古楽愛好家にはそのさらなる可能性を…皆様とっての新鮮な発見のきっかけとなれば幸いです。


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Produced by Holzmond Records